著者 | Georg Lenz, R. et al. | 雑誌名 | Science | 発表年 | 2008 |
タイトル | Oncogenic CARD11 Mutations in Human Diffuse Large B Cell Lymphoma ヒトのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にみられる発がん性のCARD11突然変異 |
要約
DLBCLの中で治癒率が最も低いABCサブタイプでは、悪性細胞の生存はNF-κBシグナル伝達経路の恒
常的活性化に依存する。正常なB細胞では、抗原受容体によるNF-κBの活性化には
、細胞質内の足場蛋白質CARD11が必要とされる。われわれは今回、CARD11が腫瘍
発生の原因となりうるかどうか明らかにするため、ヒトDLBCL腫瘍中のCARD11遺伝
子の塩基配列を解析した。ABCサブタイプのDLBCLの生検では、73検体
中7検体(9.6%)からミスセンス変異が検出され、いずれもコイルドコイル領域
をコードするエクソン内にみつかった。CARD11のコイルドコイル領域変異体をリ
ンパ腫の株化細胞へ実験的に導入したところ、NF-κBの恒常的な活性化が生じ、
抗原受容体を刺激するとNF-κB活性が増強された。これらの結果から、CARD11はDLBCL
において真の発がん遺伝子であることが示され、CARD11経路の薬理学的阻害薬はDLBCL
治療薬となる遺伝学的根拠が得られたことになる。
(田辺三菱製薬HPより引用)