悪性リンパ腫の血液検査について

血液検査の項目

血液のがんでは血液や骨髄を調べます。
下に血液のがんでよく調べられる検査項目と基準値(参考値)を示しました。

項目 基準値(参考値)
白血球(WBC) 4500〜9000/μL
赤血球(RBC) 男性:410〜530万/μL
女性:380〜480万/μL
ヘモグロビン(Hgb) 男性:14〜18 g/dL
女性:12〜16 g/dL
ヘマトクリット値(Hct) 血液中の赤血球容積比のこと。
男性:40〜48%
女性:36〜42%
血小板(Plt) 15〜40万/μL
好中球 20〜75%
好塩基球 0〜5%
好酸球 0〜15%
単球 0〜15%
リンパ球 20〜65%
可溶性インターロイキン-2レセプター
(sIL-2R)
悪性リンパ腫など悪性腫瘍で
上昇します。
220〜530U/mL
乳酸脱水素酵素(LDH) 悪性リンパ腫など悪性腫瘍で
上昇します。
200〜400 IU/L
チミジンキナーゼ活性(TK) 悪性リンパ腫など悪性腫瘍で
上昇します。
5 U/L以下

可溶性インターロイキン-2レセプター(soluble interleukin-2 receptor:sIL-2R)

基準値:220〜530U/mL
インターロイキン-2レセプター(IL-2R)のサブユニットとしては
α鎖(CD25;分子量55kd)、β鎖(分子量70kd)、γ鎖(分子量64kd)の3種類が知られている。すべて膜貫通型。
IL-2RはIL-2結合性サブユニットの組み合わせにより、IL-2の結合親和性が異なる3種類のレセプターとして存在する。
@α鎖のみ:低親和性
Aβ鎖+γ鎖:中親和性
Bα鎖+β鎖+γ鎖:高親和性
IL-2のシグナル伝達に関与するのはβ鎖とγ鎖。α鎖はシグナル伝達に関与しないと考えられている。
よってシグナル伝達できるレセプターは中親和性レセプターと高親和性レセプターの2つ。

α鎖(CD25)は膜貫通型糖タンパク質。活性化T細胞、活性化B細胞に発現する。
限定分解により産生される可溶型α鎖は、T細胞系の活性化に伴って増加するため、
T細胞の活性化の消長を示す指標となる。白血病、悪性リンパ腫、関節リウマチ、膠原病など、
免疫系のさまざまな病的状態で上昇しており、病勢を反映する指標として有用と考えられている。

HTLV-1由来の転写因子p40Taxはα鎖プロモーターに結合して転写活性化を誘導するため、
HTLV-1感染により引き起こされるヒト成人T細胞白血病(ATL)においてはα鎖の発現が著しく亢進している。

乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase:LDH)

基準値:200〜400 IU/L
乳酸の脱水素反応によりピルビン酸を生じる酵素。
平衡は逆に傾いており、解糖系ではピルビン酸から乳酸を生成する方向に働いている。
骨格筋で作られるM型と、心筋で作られるH型の2種類がある。
全身のほとんどの組織細胞に存在するが、特に、肝臓、腎臓、肺、血液、筋肉、がん細胞に多い。
LDH活性は心・腎・骨格筋・膵・脾・肝・赤血球などの悪性腫瘍組織に高く、
組織の細胞が多く壊れると、血液中に流れ出て値が上昇する。
これらの臓器に病変が起こった時に血中に遊離するので、診断に有用。
運動の影響を受けて上昇するため、採血前には激しい運動は避ける。

チミジンキナーゼ活性(thymidine kinase:TK)

基準値:5 U/L以下
チミジンキナーゼはDNA合成のサルベージ経路で働く酵素。 がん細胞は活発に細胞分裂を繰り返しているため、悪性リンパ腫ではチミジンキナーゼ活性が高値となる。 悪性リンパ腫のほか、白血病、多発性骨髄腫、ウイルス感染症(EBウイルス、サイトメガロウイルス、風疹)などでも高い値を示す。

チミジンキナーゼはThymidineがDNA代謝に組み入れられる時点でthymidine monophosphateに変換させる働きを担当している酵素。
最適pHは7.5〜8.5、Mg2+要求性。
dt + ATP → dTMP + ADP

検査の種類



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