ガリウムシンチ
ガリウムシンチとは?
核医学検査の一つで、悪性腫瘍の診断や炎症性病変の診断に用いられます。
クエン酸ガリウム(67Ga-citrate)を静脈注射し、投与後48〜72時間後にガンマカメラ(シンチカメラ)と呼ばれる特別なカメラで撮影し、その分布を画像にします。
クエン酸ガリウムは、腫瘍や炎症に集まる性質があります。
その性質を利用して、腫瘍や炎症が、どの部位にあり、どの程度進行しているかを調べることができます。
X線検査やCT検査などは主に臓器の形の異常をとらえるのに対して、核医学検査は臓器の働き(機能)をとらえることができます。 注射されたガリウムは、投与後24時間以内では腎臓や腸管から排泄され、その後は肝臓が主な排泄経路となります。 48時間から72時間では、肝臓、骨、脾臓で高い集積を示します。
・臨床的意義
腫瘍診断 | 悪性リンパ腫、乳がん、肺がん、悪性黒色腫、甲状腺未分化がん、頭頚部腫瘍などの悪性腫瘍組織に有用です。 |
炎症診断 | 結核、間質性肺炎、サルコイドーシス、肺炎、関節炎などの炎症性病変に有用です。 |
ガリウムシンチの価格
ガリウムシンチは保険適用されます。
私のときは3割負担で約18,000円でした。
検査の流れ
1. 注射
クエン酸ガリウムを注射します。注射前の食事は普段通りでOK。
2. 検査(撮影)
検査は注射の48〜72時間後に行います。
台の上にあおむけになり、ガンマカメラで撮影を行います(30〜60分程度)。
ガンマカメラは体のギリギリ上の所を通っていくので圧迫感を感じるかもしれません。
※食事はふだん通りでOK。
※検査前日に下剤を飲むかもしれません。
注射されたガリウムは、腎臓や腸管から排泄されるため、
便が残っていると腹部が見えにくくなるからです。
下剤を処方されず、当日の朝便が出なかったとき
は、医師に相談しましょう。浣腸をすることになるかと思います。
※この検査では、衣服を脱いだり、着替えたりする必要はありません。
ただし、大きな金属類(コイン、ベルトの金具、カギなど)やプラスチック類は外します。
腫瘍への集積
67Ga-citrateがどのように悪性腫瘍組織に集積するのかについて、
まだはっきりとは分かっていません。
67Ga-citrateが血液中の血清タンパクであるトランスフェリンと結合し、
トランスフェリンレセプターを介して細胞内に取り込まれると言われています。
クエン酸の炭素原子が共存することでガリウムとトランスフェリンとの結合が安定化します。
細胞内では、リソソームや細胞質に分布。
トランスフェリンレセプターは腫瘍細胞や炎症箇所に多く存在することから、
67Ga-citrateが多く集積すると考えられます。
67Gaとしての半減期:3.26日